【涙腺崩壊】免許試験でデカイヤンキーに絡まれた話

 

みなさんこんにちはノムラです。

 

つい先日、運転免許証を取得してから1年が経ちました。

 

車に乗る回数は多い方だと思うんですが、車に乗るたびに僕は1人の男のことを思い出します。

 

もうたぶん2度と会うことのないだろう男、練馬のプーさんのことを。

 

 

ノムラ物語エピソード4 免許試験でデカイヤンキーに絡まれた話

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ノムラの免許事情

 

ノムラは大学2年の冬に2週間の免許合宿で無事仮免を取得した。

最終日の技能最終テストでクランクに乗り上げ2日延泊する致命的ミスをしたのだが、

一応その後の試験に合格して、仮免を取得した。

 

東京に戻って「あぁ免許センターで筆記試験に受からないと免許もらえないのかぁ」なんて考えてたと思う。

3月に東京に戻ってきたのだが、結局筆記試験を受けたのは4月初めだった。

 

ひとりで免許センターに受けに行ったのだが、

落ちた。あと一点で落ちたのだ。

 

僕が受けた試験場の場合、合格者が教室のパネルに発表される。

 

係員は無慈悲にも「不合格者は教室から立ち去ってください」と言った。

 

「ヤベェ落ちちゃったよ親に怒られる」真っ先に浮かんだのは親の事だった。

 

1回のテスト費用が3000円くらいかかるのだ。金欠の僕にとって3000円はデカイ。

ハムスターが1匹買える値段だ。

でも落ちちゃったものは仕方ない。

僕は足取り重く家に帰った。

 

自宅に着き、母に半笑いで「へへっ落ちちゃった」そう伝えた。

母は僕を一瞥して「バカじゃないの」と言った。

そう、何を隠そう僕はバカなのだ。バカな上に本番に弱い

いつも、本番になって失敗するのだ。

 

「もう一度受けたいのでお金を恵んでください」母にはそう伝えた。

 

「お父さんに聞いてみなさい」そう言った。僕は凍りついた

 

僕はお父さんが怖い。お父さんを前にしたら蛇に睨まれたネズミのようになる。

 

なぜか敬語で話してしまう。

 

ちなみにお父さんは矢沢永吉の大ファンで自作のTシャツを作るくらい好きだ。

顔も似てる。

以前、奨学金を遊びの金として使ってることがバレ、顔面を3回以上強く殴られてから話すことが初めてだった。

 

お父さんに「筆記試験に落ちたのでもう一度お金をください」なんて

矢沢永吉に「焼きそばパン買ってこい」と言うのと同じだ。それは例えが悪いか。

でもお金がないと免許が取得できない。

 

僕は矢沢を目の前にして素直に「筆記試験に落ちたのでお金をください」といった。

期待とは裏腹に矢沢は「YAZAWA貸すよお金。でも次はないからな。絶対受かれよ」そう言った。

 

次の日僕はオールで勉強して早朝に試験会場に向かった。

 

 

免許センターの悪夢

 

試験開始は9時頃からだった。電車を乗り過ごした僕は焦っていた。

「このままだと駅に着くのが40分か…ギリギリ間に合うな」

40分に無事電車は到着して、僕はダッシュで試験会場に向かった。

走ってると駅前で「お兄さん!ちょっと!」そう声を掛けられた。

なんだこっちは急いでるのに。

そう思ったが振り返ると

「免許試験受けるの??必要書類が必要だから早くこっちきて!試験受けられなくなるよ!」

そうおっちゃんに言われた。

 

必要書類?なんだそれ?1回目の試験では無かったぞ?

そう思いながらも「試験受けられなくなる」その言葉に僕は引き止められた。

 

試験が受けられないと言うことはYAZAWAにぶん殴られると言うことだ。

 

怪しいおっちゃんに誘導され僕は怪しげな写真屋のような所に連れてかれた。

 

 

練馬のプーさんとの出会い

 

ソファーに座らされた僕は焦っていた。時計の針は45分をまわっていたのだ。

 

怪しげなおっさんは「書類を書くから免許申請の紙見して。ちなみに700円かかるから」と僕に伝えた。

 

あとあと発覚したのだけれど、このおっちゃんは代筆屋ということがわかった。

 

代筆屋とは
免許を取る際に申請書が必要になるのだが、それを書くというサービスだ。ちなみに申請書は自分でも無料で免許センターで書くことがもちろんできる。これから試験を受ける人はきをつけてね!

話をもどそう。

 

「700円とか高いな…けど急いでるし仕方がないか…」

 

とにかく遅刻をしたくなかった僕はお金を出して椅子に座って待っていた。

僕以外にも代筆屋に捕まった人は4人くらいいた。

 

みんな同じようにそわそわしていた。一人を除いて。

 

不安でいっぱいな部屋に、大きな声が響いた。

 

「乃木坂きたんすか!?うわあ昨日ここにくればよかったぁ!!」

 

やけに大きな声ですぐに視線を向けると、

別のおっさんと話す金髪で真っ赤な服を着た太めのヤンキーがいた。

 

のちの練馬のプーさんである。

 

どうも怪しいおっさんによると昨日乃木坂の子が免許センターにきたらしい。

きっと僕らを楽しませるための嘘だろう。

 

しかし金髪ヤンキーは

「俺の連れの友達の友達がAKBと知り合いなんすよやばくないっすか?」とおっさんに言っていた。

それってもはや赤の他人だろ。しかもAKB本人と友達じゃないのかよ知り合いかよとツッコミたくなったがやめた。

 

そんなことより僕は試験時間が近づくことに不安を感じていた。8時50分だった。

 

少しの時間が経ち、ぞろぞろと待合室から人がいなくなり、

やっと僕の申請書が書き終わったので、試験場へ急いで向かおうとしたら、

怪しいおっさんが「君ら二人で行きなよ。これも何かの縁だし」そう言った。

 

「二人?」

 

振り返ると真っ赤な服のヤンキーがソルティライチを飲んでいた。

 

練馬のプーさんという男

気がつくと僕は金髪で真っ赤なTシャツを着たヤンキーと試験場に向かって走っていた。

 

隣で太ったヤンキーは「間に合うといいっすね」とデカイ図体を揺らしていた。

 

僕らはギリギリで受付時間に間に合った。

学科試験の前に少しの時間があったのでヤンキーに話しかけた。

 

「何歳なんですか?」

「18っす!」

こいつ年下なのか…

「あ、そうなんだ!一個年上だ。」

「先輩なんすね!!自分バカなんで一回試験落ちてるんですよ!この試験2回目なんすよ」

「一緒だ!俺も昨日落ちたから2回目なんだよね」

 

そのあと少し談笑をしてわかったことは

  • 練馬に住んでいて、あだ名はプーさん
  • 赤と金は好きな色なのでプーさんと言われても悪い気はしない
  • マイブームはソルティライチ
  • 身長は184センチあるということ
  • 原付の免許は持ってるということ
  • ももクロのあーりんが好き⇦乃木坂じゃないのかよ

 

後輩ならきっと可愛がられるタイプだろう。

見た目はヤンキーだが、いいやつだった。

 

話の最中にプーさんはそわそわし出した。

犬がそわそわしているあの感じに似ているので

僕はすぐに彼がトイレに行きたいことに気がついた。

 

「トイレ行かない?」

「僕も行きたかったところなんですよ!」

やっぱりな。

 

二人で並びながら用を足していたときにプーさんが突然

「最近うんちしている時涙が出ちゃうんですよ。」と言った。

 

なんで会って間もない俺がお前のうんこ情報聞かないといけないんだよ。

しかもうんちってなんだよちょっと可愛くするなよと強く思ったが

「一回医者に診てもらった方がいいかもね」と無難に返した。

 

(まもなく試験を開始します。受験者のみなさんは教室に入ってください)

アナウンスが響いた。

 

「野村先輩、頑張りましょうね!」

 

笑顔でプーさんはいった。

少しキュンとした。

 

 

試験開始

 

やっと時間が来て、僕は最前列から3つ目くらいの右の列に座った。

プーさんは僕の座ってる場所から10列くらい離れた左の列に座った。

ちらっとプーさんを見たらばっちし目が合い、にっこりしながら手をふってきた。

 

可愛いやつめ。

 

静かな会場に試験官が来て、

「この中に以前原付などで事故を起こした人はいますか?いたら手をあげてください」と僕らに言った。

 

受験者がチラチラ周りを見ていた。

 

その中で一人だけ手をあげてる人がいた。

 

 

プーさんだ

 

プーさんは周りの目を一瞬で釘付けにした。

試験官も「うわデカイなこいつ」そんな目で彼を見ていた。

こいつ事故起こしたのかよ

 

 

そんなこんなで試験が開始した。

試験を終えて

 

 

試験を終えた僕は安堵していた。わからない問題が7つしかなかったのだ。

90点以上合格なので、問題は基本的に一問一点だ。

 

最後の図を用いた問題は2点なのだが、その問題は自信があった僕は勝ちを確信した。

これでYAZAWAに殴られずに済む。

 

 

試験後に、椅子に座って合格発表を待っていた。

「センパーイ!」プーが来た。

「試験いけた?」僕が聞くと

「わからない問題が17問あったんですけど、なんとかなりそうです!」と言った

「え、90点合格なんじゃないの?」というと、プーさんはハッとして

「70点合格だと思ってたぁ!!!!」と咆哮した。

 

想像してほしい。狭い待合の椅子にたくさんの人が座っている。

 

席でデカイ金髪のプーさんみたいな格好をしている男が頭を抱えて大きい声を出しているのを。

ただのホラーだ。

 

周りの目を集めるプロなのかよこいつは

「まあ、2択だし、なんとかなるよ!!!」と必死に励ました。

 

まもなく試験結果が発表される。僕の将来が決まるのだ。

 

 

運命の試験結果

 

試験番号は179だった。

 

教室に案内され、天井からぶら下がっているモニターに番号が表示される。

心臓がドクンと高鳴った。

 

プーさんを見たらベロを鼻先につけようとして頑張っていた。

こいつには緊張感というものがないのか

 

僕はただじっとモニターを睨んでいた。

 

(試験結果を発表します。番号が表示されてない方は速やかに退出してください)

 

試験官の声と同時にモニターに番号が表示された。

 

98、103、130、、、どんどん周りから人が消えていく。

 

僕は手を重ねて強く願った。

 

178、178、お願いだ。受かっててくれ。。。

 

148、166、171、200、208、、

あれ?200????

 

最悪のシナリオが脳裏をよぎった。

自宅に戻ってYAZAWAにぶん殴られているシナリオを。

 

2回目の表示が開始されて僕はもう一度確認した。

何かの間違いだ。何かの間違いだ。

 

148、166、171、200、208、、

 

うん。落ちた。

 

全てを察した。僕の試験結果、そしてこれからの運命を。

周りを見渡したらみんな安堵の表情で座っていた。

ああ、彼らは受かったのか。勝ち組だ。。

僕は二回確認しても番号を確認できなかったことと、

最後の最後まで教室に残って確認したことが突然恥ずかしくなった。

 

急いで荷物を持って席を後にした。

振り返り出口に向かうとき見慣れた人がいた。

練馬のプーさんだ。

彼は受かっていたのだ。

17問わからないと言っていた彼は受かっていたのだ。

何が起こったのかはわからない

しかし受かっていたのは事実だ。

 

そういえば試験結果を待ってる時の席で

プーさんがこんな事を言ってるのを思い出した。

「自分のラッキーナンバーは11なんで171はラッキーナンバーです!」

 

どこらへんがラッキーナンバーかわからなかった

かれは171番だったのだ。

恥ずかしいような、気まずいような顔で僕はプーさんの席の横を通った。

プーさんは僕をみていた。

 

ジーッと僕を見つめ、子犬のような顔で

「なんか、ごめん」

そう言った。

 

今朝出会い一緒に走ったプーさん

ソルティライチ入りますか?と聞いてきたプーさん

うんちをする時涙を流すぷーさん

笑顔で手を振ってきたプーさん

 

突然僕はプーさんに対して感謝をしたくなった。

 

どんなに素っ気ない返事をしても話を広げようとしてくれたこと、

 

7問以外全部わかったと言うと

「さすが野村先輩!」と言ってくれたこと

「医者に診てもらいな」というと

「やっぱり病気なのかなぁ…」と小声で呟いていたこと

色んなことが頭をよぎった。

 

「なんか、ありがとうな…」

 

そう言って僕は試験場を後にした。

 

この先僕は彼と出会うことはないだろう。

連絡先も住んでる場所も知らない。

ただ知ってる事は練馬のプーさんというあだ名、

うんちをする時涙を流すという事だけだ。

 

どうかこの物語を読んだあなたに頼みたい。

この記事をシェアして、練馬のプーさんに届けてくれはしないか?

 

僕がもう一度練馬のプーさんにあえるよう、

 

 

プーさんに3度目の正直で試験に受かったよ!」と言えるように。

 

 

 

 

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